「刃文」  スガダイロー・トリオ

 近い世代の日本人アーティストで、なんといっても注目しているのはスガダイロー。初めて観たのは2007年のJAZZROOM KEYBOARD。鈴木勲のグループだったと記憶している。とにかくテンションMAXでキレッキレのピアノを弾く人という印象は強く残ったが、正直に言うとその時にはあまり興味を持たなかった。ところが、次に観た2010年の小山彰太トリオが鮮烈だった。以後、同世代人として、各方面でのスガダイローの活動に注目し続けている。

 これはまったくの余談であるが、スガダイロー氏は、幕末史についての造詣がたいへん深い。ライブ終了後には、いつも快く歓談に応じてくれるのだが、以前のライブでは清河八郎は幕末最大のトリックスターだという話題で大いに盛り上がった(彼の作品に、その名もズバリ「清河八郎」という曲まである)。2013年のライブではグラバーが面白いと語っていたのをふと思い出したので、備忘録代わりに、ここに挿話としてご紹介しておく。

 さて、この『刃文』という作品は2013年のリリースであるが、何を隠そう、この私もドネーションという形で、アルバム制作を陰ながら応援させていただいた次第である。記念以外の何物でもないが、いちおうアルバムのスペシャルサンクスとして私の名前が載せられている。
 収録されているすべての曲が、スガダイロー(p)、東保光(b)、服部マサツグ(ds)からなるスガダイロー・トリオによる演奏であり、彼らのインプロヴィゼーションが存分に揮われた録音となっている。面白いところでは、M-4「男はつらいよ」のテーマがセロニアス・モンク風のブルースで演奏されているが、今回のお遊びはこの一曲のみで、あとはシリアスな演奏が並ぶ。どのトラックも、適度に楽曲としての骨子が作られたものとなっており、フリージャズ一辺倒の演奏は皆無だ。ベストトラックは迷うところであるが、M-2「蓮の花」、M-6「epistrophy」、M-10「悪党」あたりを推しておきたい。








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