映画「Festival Express」

 映画「Festibal Express」は映画館で観た。何といっても、大好きなThe BandとJanis Joplinが大画面の中で共演しているのだ。上映予定を知ってしまった以上、これを逃す選択は無かった。

 「Festibal Express」は、1970年、当時を代表するロック・ミュージシャン達を乗せた列車がアメリカ大陸のトロント〜カルガリーを横断するツアーをドキュメントタッチで撮った90分のフィルムだ。当然ながら映画化を視野に入れて撮影された映像であったが、当時の諸事情により作品化が中断してしまう事態となり、文字どおり「伝説のフィルム」として、ロックファンの間ではその存在を囁かれ続けていた。2000年代に入り、ようやく作品化に漕ぎ着けられたのは、僥倖としか言いようがない。ミュージシャンは、The Band、ジャニスのほか、Grateful Dead、Buddy Guy Blues Band、The Flying Burrito Brothersと、なかなかにシブい面々で、個人的には大好物だったりする。

 大画面で観たThe Bandやジャニスは、まさに圧倒的な迫力だった。The Band関連で特筆すべきは、やはり「Slippin' and Slidin'」の映像。リチャード・マニュエルの華々しいピアノのイントロに始まり、全員参加のボーカル、リック・ダンコの黒く弾むベースライン、ロビー・ロバートソンの荒々しいチキン・ピッキング、レヴォン・ヘルムのタイトなリズムとカウボーイ・ハット、そしてガース・ハドソンの炎のほとばしるような後奏のオルガンと、何もかもが圧巻の一言で、The Bandファンからすると見どころしかない。蛇足であるが、私が「眼鏡ギターリスト」たるロビー・ロバートソンを強烈に意識しているのは、まさにこのシーンである。

 この映画のハイライトとなったジャニス、リック・ダンコ、ジェリー・ガルシアが酩酊して「Ain't No More Cane」を歌うシーンは、やはり胸にこみ上げるものがある。当然のことだが、私が映画館で観た2005年時点では、すでにみな鬼籍に入っている。思い返せば、この翌年あたりからレヴォン・ヘルムが息を吹き返したように精力的な活動を再開して、私もキャリアの最後を同じ時代に見届けることができた。1970年の映像だが、2000年代に映画化され公開された本作のことを、私は「僕らの時代の」ロック映画と思っている。










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